これも海外ドラマや映画の中でよく使われる表現です。
“You stole my thunder.”
直訳すると、
「私の雷を盗んだわね。」
となりますね。
意味不明ですが、実はこれイディオムです。
“steal somebody’s thunder”
で
「(人)のアイデア・モノを盗む・横取りする」「(人)を出し抜く」
という意味になります。
よく使われるのは、友達に大ニュースを伝えようとしたら、友達がさらに大きなニュースを伝えてきた時などです。または自分に向けられていた注目が他人に奪われてしまった時にも使われます。
実際にアイデアを盗んだという時に使われることはそこまでないように思います。そういう時には単純に“You stole my idea.”が使われるためです。
それではいつものように私のお気に入りの海外ドラマFriendsの中から例をご紹介します。
実はこれは題名にもなっていますが、Season 7 Episode 1: The One With Monica’s Thunderのシーンです。
Monica: “See, you kinda stole my thunder!”
モニカ「私の大ニュースを横取りしたわね。」
Ross: “We did not steal your thunder because we are not getting back together!”
ロス「横取りなんてしてないよ!俺たちはよりを戻す気なんてないんだから!」
これは、モニカが婚約した直後にロスとレイチェルがキスをしているのをモニカが目撃してしまったシーンです。ここでは「大ニュース」と訳しましたが、厳密には自分が婚約してみんなから注目されていたことを指します。自分に向けられていた視線がロスとレイチェルがよりを戻すのではないかという大ニュースによって、この2人に移ってしまったという意味で使われています。
同じエピソードの中でモニカとレイチェルが言い合いをするシーンでも出てきます。
Monica: “Let’s just say it’s not the first time you‘ve stolen my thunder.”
モニカ「言わせてもらうけど、私のモノを横取りしたの初めてじゃないわよね。」
Rachel: “Monica, what are you talking about?”
レイチェル「モニカ、一体何の話?」
ここではモニカは、自分の16歳の誕生日にレイチェルがモニカの従妹とキス以上のことをしたという例を挙げて、レイチェルがモニカの「モノ」(ここでは自分が主役のはずの16歳の誕生日パーティー)を盗んだのは初めてではないと言っています。
直訳では少し理解するのが難しいかもしれませんが、どのような場面で使えるか少し分かりましたか?
それでは最後にもう一つ例をご紹介します。こちらはアメリカでエミー賞を何度も受賞しているModern FamilyのSeason 2 Episode 10のシーンからです。
Gloria: “Claire, I didn’t come here to steal your thunder. Your thunder is your thunder. My thunder is my thunder.”
グロリア「クレア、あなたのモノを横取りしに来たわけじゃないのよ。あなたのモノはあなたのモノ。私のモノは私のモノ。」
Claire: “I know. It’s just God gave you so much thunder.”
クレア「分かってるわ。ただ神様はあなたに「モノ」をあげすぎたのよ。」
まずはこの2人の関係を知っていないと理解するのが難しいかもしれません。グロリアは大変美人でスタイルも良い上にクレアのお父さんと結婚したばかりです。クレアとグロリアはほぼ同じ歳。もちろんクレアは面白くありません。そんなクレアが「自分のモノ」と思っていた子供達のスクールパーティーの準備をしているとグロリアが手伝いに来てくれます。もちろん「手伝う」つもりで来たグロリアですが、他のメンバーはグロリアの綺麗さとアイディアにかなり好意を抱き、クレアの存在をすっかり忘れグロリアが注目を集めます。それに怒ったクレアに対して言ったグロリアのセリフになります。
いかがでしたか?日常で皆さんが使うことはそれほどないかもしれませんが、誰かが使っているのを聞くことは結構ある表現です。意味を暗記するのではなくて状況からどんなニュアンスで使われているのか理解できることが大切であることを覚えておきましょう。